「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
最近のマイブーム・本谷有希子
「乱暴と待機」に引き続き
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
この題名、映画化されてた時に知ったのですが、
題名だけで、ぐぐっときます。
なかなかこんないい題名、思いつきません。
僕の芝居の題名は、昔からアルファベット表記しかないんですが、
そろそろ、日本語の題名にしたいと思いつつ、
日本語にするなら、これくらいかっちょいい題名をつけたいものだ
と、まだ思いつけないでいる僕がいます。
とりあえず、本から読んでみた。
描いている人間描写は、「乱暴と待機」に通じるものがあり、
それとともに、
この間芝居で見た「遍路」のような、田舎の人の都会観・田舎観
も描かれています。
僕は、ひたすら、東京人なので、
後者の方は想像はできるけど、実際よく分からない。
別に、田舎が嫌いなわけではないけど、住みたいとも思わない。
ただ、田舎の人が、「東京は汚い、空気が汚い」というのは、
癪にさわる。
今まで触れた本谷作品の中では物語性が強い感じもしたけど、
毎度の「淡々と進んだ後の感情の爆発」が、やはりぐっとくる。
この本、時間の問題で2,3回に分けて読んだのですが、
一回で読みきればよかった、と後悔。
きっと「乱暴と待機」もそうだろう。
芝居の小説化だからか、この話、空間力がすごい。
独自の世界観を作り上げて、それに強く引き寄せられる。
淡々と進む中に、
どんどん濃い、逃れがたい世界が作り上げられ、
どんどん引き寄せられていく
そして、最後でどばって・・・・
でも、2,3回に分けて読んじゃったので、
最後の方とか、世界が再構築される前に、
感情爆発に入ってしまったので、
なんだか、もったいない気がした。
確かにおもしろかったけど、
一回で読んだら、もっと面白かっただろうなぁー
と思う。
でも、こりゃ、おもしろい。
今まで触れた本谷作品の中でトップ!
で、読み終わったので、ツタヤに行ってDVDを借りてくる。
結構気合をいれて見たのですが、
・・・・・・
とりあえず、キャスティングがよく分からない。
サトエリは、見た目は澄伽だが、しゃべるとなんだか・・・
待子さんが、永作さんってのも、きれいすぎだろ。
もっと見るに耐えない人を想像していたのに。
宍道も同様。かっこよすぎ。
逆に、清深は、もっとかわいい子でもいいのでは?
ってか、痩せてんじゃないの?清深?
と、小説に忠実なんだか、わが道行ってるのか、
いまいちぱっとしない。
それと、話のはしょり方が・・・・
人間の醜さの表現の対象が、澄伽に絞られていて、
他は、結構いい人っぽく描かれているのが、
一番納得いかなかった。
時間の問題もあるんだろうし、
演技で出してるつもりなのかもしれないけど、
皆がかげながらでも醜いからこそ、
澄伽の醜さとかそのほかの葛藤がきれいに描けて、
最後の感情の爆発が映えるんじゃないか?
なんだか、そこが抜けていた感じが否めずに、
案の定、最後もなんか中途半端に終わる。
イラストで勝負するよりは、
演技で勝負の方がいいだろ、あそこは!
一番の魅せ所をイラストでごまかすなよ!
と思わざると得ない。
イラストが、思った以上にえぐかったのには、
びっくりさせられましたが。
というわけで、
本は満足、DVDは不満足。
お芝居で見たかったなぁー
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