「獣の奏者 探求編 完結編」
「獣の奏者」の続きを読みました。
一巻、二巻にあたる「闘蛇編」「王獣編」は文庫本で読みましたが、
続編の「探求編」「完結編」はまだ文庫でてないので、
ハードカバーで買いました。
アンバランス!
元々2巻で完結していた話を、
要望にこたえて続編を書いた形のようです。
そのせいか、
ファンタジー的な盛り上がりや緩急は身を潜め、
哲学的な、思想的な話が多かった気がします。
とはいえ、この物語の世界にどっぷりと浸かってしまってる僕は、
そんなことも気にせずに、次が気になり、
せっとせっと読み進めていきました。
4巻にいたっては1日もたなかった。
別に1日中本読んでるわけじゃないんですがね・・・・・・
非常に面白かったです。
前半2巻は、感極まった瞬間にポロリと涙が流れる感じでしたが、
今回は、そうではなく、
じんわりと心の中でたまり広がり埋まっていく涙。
読み終わった後、心が一杯で、涙がこぼれそうというか、
もう声が出せない感じでした。
いやいや、もう、ありがとうございますって感じです。
人が群れとして、社会を形成していく上で生じる不条理
その中でも答えを求めてもがく一人一人。
自分の心にジャストミートです。
答えなく、先が見えず、でも、今を見据えて生きていくしかない。
自分が納得する生。
この作者がこの作品で描く
人生観・自己本位観
そして、自然観・動物観は、非常に共感できることが多く、
その点も、のめりこんだ一因かもしれません。
一方では他の動物を使い、
一方では他の動物をかわいがる、自分勝手に愛しさを感じる
人間。
すべては人間のエゴなんだけど、
それをみないふりをせずに、
向き合って、自分の納得する道を探る姿は、
なんともいえぬ共感です。
最近、仕事とか日常の小さい問題に心とられて忘れかけていましたが、
明日死ぬかもしれない人生。
今生きる道を、自分の心を、もっともっと見据え続けて、
そして、進んでいきたいなぁと再認識できました。
素晴らしいファンタジーでした。
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