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2010年6月 5日 (土)

「つやのよる」井上荒野

「つやのよる」井上荒野

つやのよる つやのよる

著者:井上 荒野
販売元:新潮社
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「つや」という女性をめぐる長編小説。
今まで読んだ井上作品とは、ちょっと違う感じがしました。
今までは、

波風が起きず、淡々と話しが進んでいく、
その中で、いろんな感情が、淡々と動いていく。

感じでしたが、今回は、

大きく波風は起きていないのに、
その下の奥底では、大きな水流がうごめいている

って感じをうけました。

「つや」の話しなのに、
実際の「つや」はほとんど出てこない。

「つや」とかかわりのあった、
かかわりのある、
間接的にかかわりがあったかもしれない

そんな人たちの視点のお話が、
7人分で構成されていきます。

話を読み進めるにつれて、
徐々にその人たちの関係性が少しだけ見えてきますが、
サスペンス物のように、それを知るのが目的ではなく、
ただ、見えただけで、全貌をつかませようとはしていない。

それでも、実際の「つや」がなかなかでてこないのは、
この話し自体が、「つや」に関する「噂話」にすぎない。
ってことが徐々に感じられる。

作中にも時々登場する「噂話」という言葉。

本人たちの周りをぐるぐる回り、膨らむ噂話。
直接は知らないけれど、噂では知っている「つや」。

本を読んでいるにも関わらず、
噂を聞いているにすぎない感覚。

実際の「つや」の描写でなく、
周りの人からみた「つや」の描写。
それすらもなく、昔周りにいただろう人間の心の描写。
それらだけから構築されていく「つや」のイメージ。

「噂話」なんてこれ程度!
と言いたいのか、
ほら、「噂話」の力はこんなにも!
と言いたいのかは分からないけれど、

実際の「つや」の描写だけあったとしたら、
今のイメージとはどんな違いがあるのだろう。

とも思う。

でも、僕らは、そうやって、
それに近い風なものの中で、
生きているのだろう。

読者それぞれの中で、勝手に構築されていく「つや」

読者の創造性を膨らませてくれる本好きです。
映像になってしまったら台無しの、本の善さ全開!
って感じがして。

この話は「つや」がいまにも死にそうで、
そして、死んでしまった時間帯の周りの人間の描写。

自分が死にそうな時、
周りはどんな風に動くんだろう・・・・・

それも、本人には、知るよしもなく・・・・・

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