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2011年4月17日 (日)

「八日目の蝉」角田光代

映画ではなく、
会社の先輩から本を借りて読みました。

「八日目の蝉」
角田光代

自分を捨てた男の、子供を誘拐して育てる女の話。

あきりたりなネタだし、
そんなに期待していなかったのですが、
非常に巧みな人間描写で、非常に面白かったです。

少しネタばれですので、ご注意を。

前半の希和子の話。
冒頭は退屈に思えましたが、
なぜか次を読みたくなってしまう。

どんな事情があるにせよ、
他人の子を誘拐するのはいいことではないし、
別に、子供が好きなわけではないんだけど、

不思議と、知らぬ間に希和子に感情移入してしまっている。

どうかつかまらないでほしい!

と願いながら。

捕まらないことだけを願っている希和子の気持ちに、
勝手にシンクロしてしまってどんどん読み進めてしまう。

そんなことを思いつつ、
薫と一緒にいる時間は素敵な時間だったのかもしれないけど、
捕まらないようにしてるその間、その時間を存分に楽しめたのだろうか?
とも思ってしまう。

後半の、薫の話になってからは、
もうなんだか、すごい!の一言。
こういう状況に置かれた子供の心境について、初めて考えたし、
そういう心境を、読み手に違和感を感じさせずに描いている。
そのせいか、希和子に続いて、薫にも感情移入してしまう。

さっきまでは、希和子に深く感情移入し、
すぐ後に、すんなりと薫に深く感情移入してしまうと、
なんだか、自分の中で二人がごちゃまぜになって、
二人の心境がかぶってくる。

物語的にも、二人の道のりがかぶり始めるけれど、
その心境的に混ざった感覚が、
この本の空間をさらに広げて、魅力的なものにし、
どんどんとはまっていく。

人は愚か

自分の愚かさも他人の愚かさも憎いけれど、
その愚かさを受け入れられた時は、
その愚かさは、愛すべき所になるのかもしれない。

不思議と感情移入したのもまた、
自分はこんなことしない!
と思いつつも、
似たような愚かさを持っているからかもしれない。

その愚かさ故に状況が悪くなっても、
いかに生きるか?をもがく姿に、
もがいて進む姿に共感したのかもしれない。

ただ、いい面のみで、人間の素晴らしさが描かれるより、
誉められることじゃない愚かなことでも、
そういう人間臭い人間の愛すべき姿を描かれる方が、
最近は好きだと感じる今日このごろ。

いい本でした。
いい本だったので、
実写化されたものはまったく見る気はしませんが・・・・・

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