「濡れた太陽」前田司郎
8月の芝居の稽古も仕上がり段階に入り、
暇があれば、芝居のことを考えて、
それでいてなんかいつもよりも
体調がよくなく、
心にも余裕がなく、
頭に血がのぼって、
視野が狭くなっているような気がしたので、
なんか本でも読もうかな~と思って、
本屋をぶらぶらし、なんとなく面白そうだったから買った本
「濡れた太陽」前田司郎
前田司郎さんは、色々と受賞されている五反田団の主宰の方で、
とはいえ、一度も芝居は見に行ったことはないのだけど、
以前「誰かが手を握っているような気がしてならない」という本を、
題名が好きだからという理由で読んだくらい。
もうあまり覚えていないけど、
そんなに面白くもなかったから、
それ以降あまり読まなかった。
「濡れた太陽」
高校に入学した太陽という主人公が、
なんとなくな成り行きで演劇部に入り、
同級生を誘いつつ、先輩とのやり取りがありつつ、
自分なりの、自分たちなりの演劇の形を探りながら、
芝居を作っていくという話。
物語の話し手の視点がころころと変わっていく
という僕の結構な好きなスタイルだったこともあり、
面白く読めた。
そして、
演劇のことを何も知らないのに、
同級生を誘って、廃部だった演劇部を再開させ、
ただ、感性と勢いと笑いだけで芝居を作っていた
自分の高校時代を思いこさせられたのも、
面白く読めた理由かもしれない。
途中、話し手の視点が、作者の視点になり、
初歩的な演劇論が展開されてるのも面白かった。
そして、
その演劇的な視点が自分とさほど違いがなく受け入れやすかったこともあり、
それ以上に、うまく言葉にされていたので、
変な抵抗感もなく、のめりこんでいった。
自分が芝居を始めたころの気持ちを思いかえせて、
また、
演劇的な考えも、うまく言葉にされているものを読むことで、
自分の中で考え直して、見直すこともできて、
最近、
稽古の雰囲気とか考えず、演出も厳しめで(笑)、
本当に頭に血がのぼっていた感じがするけど、
おかげで、頭の中がクリアになった気がする。
小説としての出来は、そこそこなのかもしれないけど、
この本をこの時期に読めたよかったな!
と思う。
やっぱり、頭が煮詰まってきたときは、
視野を広げようとすることに限る!
それに、なんかこれを読んでると前田司郎さんにすごい好感が持てた。
他の小説も読みたいし、戯曲や芝居も見たいなぁ~と思えたことが嬉しくて、
8月の本番に向かって、もっともっと頑張ります!
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