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2017年9月14日 (木)

湊かなえ『豆の上で眠る』

台本書き終えて、ようやく本が読める余裕がでてきました。
新大阪から帰りの新幹線が暇だったので、メモしていた読みたい本リストから一つ選んで買いました。

湊かなえ『豆の上で眠る』

面白くて、新幹線で300ページ読んで、帰ってから残り全部読んじゃいました!
台本書く前とかに、二、三冊途中で挫折が続いてただけに、久々に合った本に出会えました!


行方不明になった姉が帰ってきたけど、本ものの姉に思えない
ってな話です。


入りの感じは弱く地味な感じだけど、でも、どんどん入り込める文体。
今、芝居作ってて、次の稽古で
「こういう入りが一番難しいし、実力が必要だから、私は今回はこういうトリックを使うよ(笑)」ってのを話そうしてた矢先に、このレベルの入りの素晴らしさに出会ったので、脱帽とともに感激。


ここからもうネタバレですが…


読み進める中で、残りページ少なくて心配してた通りに、最後の種明かしが、説明セリフの連続で、残念。
それまでの、どっぷり浸かり込んでいた細かい機微を表現していた流れと変わってしまった。
もっと長くしていいから、後半も大事に描いてほしかったかな。

ただ、主題からすると、あの終わり方がしっくりくる終わり方だし、
終わり方からすると、種明かしは短く抑える必要があったかもしれない。

ってか、あの救いのない、答えのない、あの終わり方の不条理な感じ。好きだなぁ〜〜
不条理感な小説好きだったのを久々に思い出させてくれましたね。
こういう感じで、一般受けできてるのは、やはり、文体の魅力なのかぁ、絞り方によるわかりやすさなのか。


姉がどうか疑う流れ、姉は何者なのか探る流れの時は完全にどっぷり浸かっていたし、そこはクライマックスに近いので、必須条件ではあるのだけど。
やはり、そこに行くまで、ゆったりとしていつつ、細かい機微の表現とリズムの良さが素敵。

なんか主人公のイメージが、劇団員の子のイメージに合致したのも、入り込み易かった一因かも。
頭の中でも映像化がしやすかった(笑

そして、本ものって何という、このテーマ。
考えさせられる。
昔、
「兄弟姉妹ってなんだろう、仲良い友人たち何が違う?」って思った時に、
「血縁っていうより小さい頃から一緒にいる人たち」って言う方が腑に落ちた私。
あんまり血縁を、重視してないせいか、犬たちも同じような考えを抱いている。

今のフラノを十分に可愛がっているけど、
前のネイビーへの愛情は、今のフラノよりはなんか大きい気がするし、それはやはり一緒にいた時間の差なのかと思う。
だから、「今は、少し足りないかな」と思っても今の時間を大切にすればいいと思える。

そんなだから
ブランカの下りは、気持ち悪くなるほど許せない…

まぁ、母として仕方ない感情なのかもしれないけど、
いなくなったとか、人に譲ったとか、ちょっと受け入れがたい。そこらへんも、主人公に感情移入できた一因かな。

そういう考えなので、入れ違いは不幸だけど、私自身はは血縁の家族より育ての家族の方が重要な気がする。

だからこそ、何年たっても、一緒の時間を過ごしても、受け入れられていない「血縁の姉」の心境がたまらなく切ない。


湊かなえの作品、なんか、好き嫌いあるけど、
この作品はかなり気に入りました。

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