綿矢りさの新刊!上下巻で出ていてびっくりしたけど、即買いしました!
綿矢りさ「生のみ生のままで」
男性とお付き合いしていた二人の女性が、偶然の出会いをキッカケに、付き合い始める。
というお話。
なので、バイセクシャルの女性同士の同性愛のお話
同性愛のストーリーのものは漫画とかいくつか読んだことあったけど、バイセクシャルの同性愛のストーリーを読むのは初めてかもしれない。
自分自身はバイセクシャルなんだろうなぁとい感じしてる。肉体関係は、残念ながら?経験はないが、ステキな男性は、素敵だと惹かれることはある。
まぁ、女性と結婚して幸せに暮らしているので、バイよりのヘテロなんだろうなぁとは思う。
って、書いておきながら、他人への好みの多様性は限りなくあるので、
境界線を引くこと、そんなカテゴライズには何の意味もなく、ただ、どう生きるか、どう生きたいかだけの問題なのかと思ってはいるけれど。
思っていたよりストリートとして構成、ストーリーとしての引きが強くて、驚いた。
官能的なくだりは、綺麗な表現だけど結構具体的に書いてあって、少し興奮してしまいそうな文章だっただけに、「電車で読むには向かないなぁ」と思いつつ、「家で読むのもなぁ」と思って、結局電車で読んでいたけど。
ストーリーな部分とか官能的な部分の印象が強かっただけに、今まで好きだった言葉のリズムの心地よさはあんまり印象に残ってないのが少し残念ではあるけど、かなり楽しめた作品でした!
ここからはネタバレ(笑)
どこから始まるんだろうというドキドキ
官能的なちょっとした興奮
お互いの彼氏と別れるくだりの重さ
そんなこんなで、あっというまの上巻。
下巻の始めの展開の圧倒感とスピード感はさらにすごい!
そして、そこからの空間の支配感はすごい。
「なんで、上下巻に分けたんだよ!」思ったけど、下巻の支配力は別物!
後半はペースがゆっくりになったけど、主人公が歳を重ねて、若干守りに入りつつ、じゃっかん、若干自分を通すあたり。
人生のステージ的な部分を象徴するような表現は、性別は違うのだけど、なんだかすごく共感してしまって、安心して読めた。
ストーリー的な勢いが弱くなったあたりからその、雰囲気、空間力が強くなり、この本の空間の世界に浸りやすくなっていった。
そして、とてもいい終わり方。
LGBTの方々を差別する気もなく、むしろ、多様性とだけと思ってる私にとって、特別視する必要もないんじゃないかと思ってるくらいなので、
その方々が「権利を認めてほしいと行動すること」が少し不思議に感じることがある。
行動することを否定する気はないし、
理解してもらった方が、色々制度が変わった方が生きやすい部分もあるんだろうし、
まぁ、ほぼヘテロの生活をして満足している私には分からない苦悩は多いのかもしれないけど、「そこまで他人の理解を欲するのかな」と不思議に思ったりする。
そう思ってる私にとって、
前半から薄く感じられつつ、後半から主に繰り広げられるその葛藤の過程の流れからの二人の最終的な答え、二人が選んだ生き方が、一番すっきり受け入れられる終わり方で、穏やかな気持ちで、自然に笑顔になって読み終えられた。
思っていたより、
官能的なシーンの描写やストーリー展開で心の起伏が激しかった作品ではあるけれど、最後は穏やかに綺麗に終わらせる。
ステキな作品だった思う。
綿矢りさが、この時期にこの作品を描いた意図は正直分からないし、多くのが受け入れるような作品という感じもしないけど、私としては、とてもいい作品でした。
でも、この作品は、周りに誰もいないとこで、ゆったりできる時間がある程度あるときに読みたいなぁと思った。そんな時間はあまりないだけに、少し残念ではある(笑)
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